ネタバレ【暁のヨナ】17巻(95話～99話): さわの漫画レビュー

2020年02月23日

ネタバレ【暁のヨナ】17巻(95話～99話)

歴史異国長編 アニメ化 主従関係 お姫様 龍 ファンタジー 幼馴染 逆ハーレム

第95話「他国の少年」
第96話「黒雲」
第97話「答えを探して旅をする」
第98話「逃げろ」
第99話「闘いが終わらない」
番外編「飛べ」

【暁のヨナ】１７巻（95話～99話）ネタバレ

※ 初登場の人物は緑の文字にしてあります。

五部族会議にてスウォンが南戒への進軍を決定して数日後、ヨナ一行は地の部族領、国境沿いのとある村を訪れている。
ユンが全員に塩むすびを配ると、ヨナの手からおむすびが盗まれた。
取り返そうとすると盗んだ少年のお腹が鳴り、お腹が空いているのだと分かったヨナは弓で鳥を射落として、店に持って行けば買い取ってもらえると少年に渡す。

少年は「格好良い女だなぁ～。気に入った、嫁に来いよ！」と言う。
ゼノ以外の一同は呆気に取られる。
少年がヨナの手を引き、ユンとキジャが止めに入った。

川向こうの村に住んでいるという少年は、高華国が見てみたくて戒帝国から来たが、何日も歩きまわり腹が減って倒れそうになったという。

突然、仲間達を突き飛ばすシンア。
そして国境付近に兵士が百人くらいいると言う。

「帰れない……？」と少年が焦り、ヨナがジェハに道はないかを聞くと、ジェハは「僕がいればなんとかなる道ならある」と答えた。
ヨナはカルガンというその少年を村まで送ってあげると言う。

ジェハに背負われ峡谷を渡る一行。
全員分往復し、ぐったりするジェハをハクが笑う。
笑っているハクを見てヨナは微笑む。

ヨナはカルガンに「あいつの事が好きなのか？」と尋ねられ驚く。
ハクをずっと見ていたと指摘されたヨナは赤面し、カルガンは「やっぱり」と言う。
ハクが「何か御用でも？」とヨナに聞くと、カルガンが「ヨナがあんたの笑った顔見て幸せそーにしてた」と暴露し、ヨナは焦る。
ヨナに顔を近付け笑って見せ「なんか面白い？」と聞くハクに、ヨナは「全然」と答えた。
「なんだよ話が違うじゃねーか」とつまらなそうにするハクは、真っ赤になって俯くヨナに気付かない。

翌日、カルガンの具合が悪くなり、キジャがカルガンを背負って進む。

村まであと少しという所で倒れたキジャは、高熱を出していた。
俺の家に来いと招かれてカルガンの家に行くが、カルガンの父はあんな怪しい連中冗談じゃないと言う。
だが高華国で世話になったと食い下がるカルガンに折れた父親が、寝床と食事を用意した。

カルガンは、昔高華国領土だった金州の民である両親が高華国を懐かしがっていて、両親の故郷が見てみたかったのだと話す。
カルガンの父は、村が国の都合で取り取られて、抵抗するだけ無駄なのだからどこに属していてもどうでも良いとカルガンに言い、ヨナ達に「早く出て行ってくれ」と言い捨てた。

南戒のチャゴル殿下に金州返還について書状を送ったスウォンは〝ナダイに関しては一部の商人・貴族の暴走であり我々の関知する処ではない、極めて遺憾である〟という返答を受け取った。
スウォンは「仁義はきった」とし、火・地・空の部族の兵を金州に侵攻させる事にした。
ケイシュクがキョウガ将軍は大丈夫なのかとスウォンに尋ねるが、スウォンは汚名返上の為に期待以上の活躍をしてくれるだろうと答える。

熱冷ましの薬が効かず、一向に具合が良くならないキジャ。
ジェハはヨナに、感染らない様にここは僕らに任せてと言い、ヨナを連れ出すようハクに目配せする。
ユンが水を汲みに行くと言い、３人で家を出た。

四龍だけになった室内で、ジェハはキジャに「白龍の里に新たな龍が生まれた……とかいう訳じゃないよね？」と尋ねる。
そういう感じではないと答えるキジャ。
先代が２７歳で死んだというジェハは、そろそろ死んでもおかしくないと言い、キジャは「確かに四龍は長く生きられぬ」と言う。

戻って来たユンがそれを聞いて動揺するが、キジャが「新たな龍が生まれてもすぐに死にはしない」と執り成す。
涙ぐむユンに、ジェハは「ヨナちゃんには僕らの事黙っておいて」と言い含めた。

夜、キジャを心配し様子を見に行こうと天幕を出たヨナは、カルガンの家から出てきたジェハに抱き締められる。
暁のヨナネタバレ17巻96話ジェハヨナ.jpg

ヨナを探していたハクがそれに気付き、睨み据えた。
だがジェハはそのまま倒れ、焦るヨナをよそに不機嫌なハクが大刀の柄でジェハの頭を小突き回す。

キジャの病が感染ったジェハも寝込み、カルガンの父から「病が広がったらどうしてくれる!?」と家を追い出された。
その直後、青龍の目を使ったシンアが馬と兵士がいっぱいいると言い、倒れる。

金州を巡る高華国と戒帝国の戦いは、高華国軍の圧勝であった。
高華国の大軍勢に対し、戒帝国は北方民族などの問題で弱体化しており、高華国国境にまで十分な戦力を割く事が出来なかったからである。

戦は数日で終わり、村人達は今回は巻き込まれずに済んだと安堵している。

キジャ・ジェハ・シンアの熱は下がらない。
だがゼノは「四龍は爆発的な能力を使う分、身体弱り易いんだ」と楽観し、丈夫なだけが取柄の自分がやると看病を引き受けた。

ヨナが天幕に入り、後を追ったハクはヨナの隣に腰掛ける。
ヨナは、スウォンが進軍した理由を考え、父が戦を容認していればハクとスウォンが共に戦場に出ていた未来もあったのだろうか、そして自分は何も考えず城で過ごしていただろうと思案する。
ヨナが「もし…高華国に父上の作った綻びがあるのなら、私はそれを直したい」と言うと、ハクは眉根を寄せ「あんたがそれを負う必要はない…」と言って俯く。
だがヨナは「最善を尽くしたいの」と言う。
戦に踏みにじられてきた村人を思い「たとえスウォンが高華国にとっては良い王だったとしても、私はこの戦い、高華国にも戒帝国にも与する気にはなれない」とヨナは言った。

ゼノが頭痛に苦しむ３人に、緋龍城は龍神の加護が強い城だから、緋龍城を離れると龍は抵抗力が低くなると話した。
キジャは四龍に詳しいゼノに感心し、ジェハは「だから龍の里は国外までは移動しなかったのかな…」と言う。

ゼノは笑顔で「お前らを絶対守ってやんよ」と３人の寝顔を見つめた。

戦場では戒帝国の敗残兵達が、高華国のものになるくらいなら全て毟り取ってやると憎悪をたぎらせていた。

カルガンは、３人の病は自分から感染したのだと確信しており、隣町の大きな薬屋に向かった。
隣町の金橘（キンカン）で頭痛と吐き気を抑える薬草を買ったカルガンは、戒帝国軍が食糧と金と女を奪って暴れるところに遭遇する。

ヨナは走って来るカルガンが、馬に乗り刀を持った兵士に追われているのを見て、兵士を射貫いた。
矢を射ったのは貴様かと向かって来る兵士達にヨナが立ち向かおうとすと、ハクが現れなぎ倒した。

遠くから馬で迫り来る戒帝国軍を見て、ハクはヨナに皆と一緒に逃げろと言う。
だが「私も闘う」と言うヨナに、「足手纏いです。早く行って」と言うハク。
ハクを心配し、泣き出したヨナの目尻にハクは口づけた。
暁のヨナネタバレ17巻98話ハクヨナ.jpg

ハクは「すみません、今だけ許して下さい」と目を逸らし、「よーし元気出た」「元気百倍」とヨナに背を向けて張り切る。
ハクに「あんたはカルガンを守るのが役目だ」と言われたヨナは、カルガンを連れて走った。

兵士から馬を奪い次々と敗残兵達を倒すハクは、仲間達が遠くに逃げる時間を稼ごうと奮闘する。

天幕まで戻ったヨナは事の次第を告げ、ゼノに村人に伝えるよう頼み、ユンにキジャ達を逃がすよう伝えた。
だが天幕の中に３人の姿がない。

１人で闘うハクの腕が上がらなくなってきた時、キジャ・ジェハ・シンアが加勢に入った。
それでも、隣の町から次々と押し寄せて来る兵はきりがない。
熱でふらついたキジャが斬られ、とどめを刺されそうになった所へシンアが立ちはだかり剣を振るが、シンアも槍で突かれる。
自身と仲間達の限界を感じ、龍の目を使おうとしたシンアは、体力が足りず倒れた。

ついに村に向かって来る敗残兵達にヨナが弓を引くと、「娘さん下がって!!」とゼノが突っ込んで行く。
兵士の剣が貫通し、吐血したゼノは倒れた。
呆然とするヨナを庇ったユンは蹴り飛ばされる。
泣きながら剣を振りゼノを抱きしめるヨナに、「泣かないで」と声を掛けたゼノは立ち上がり、ザックリと斬られた傷は塞がっていった。

ゼノは言う。
「黄龍は死なない。俺は娘さんの盾になる為に生まれて来た龍だから」

～番外編「飛べ」～

１３年前、緑龍の里人は長い年月をかけ流浪しながら緑龍の能力をひっそりと隠し、その力が外部に漏れぬよう生き続けていた。
ガロウはその里で、１２歳のジェハを追いかける仕事をしている。

空に飛び出したジェハはガロウに捕まり、粗末な小屋の中で両手足を鎖につながれた。
ジェハから「あんたいつ死ぬの？」と聞かれたガロウは、ジェハの頭を鷲掴みし「お前が生まれたせいで俺の寿命減ってんのに、随分だなァ…」と凄む。
ジェハは「減ってる？　新しい緑龍が生まれたら普通３～４年で先代は死ぬんだろ!?」と言い返す。

「あんたさえいなくなれば僕は自由だ！」と蹴り付けたジェハの足を、ガロウは足で止めた。
ジェハの右足を掴んだガロウは、こんな気味の悪い化け物の脚で外の人間に受け入れてもらえる訳ない、外に出たってお前に居場所なんてないと言う。

小屋を出たガロウは、里の長老からくれぐれもジェハを逃がさない様にと言われる。
８５年前に龍の力が外部に漏れた緑龍の里では、力を狙う者達に里人が捕らわれ蹂躙されるのを怖れている。

ガロウが「ジェハを捉えた報酬の食料は…？」と聞くと、わずかな食材が用意されていた。
「少ないなァ…」と言うガロウに、長老は「何だと？　十分な量じゃないか、穀潰しが。思ったより長生きしやがるし」と言った。
ガロウは「ははは…すみません」と力なく笑う。

龍の足に力が入らなくなったガロウは死を悟り、まだ生きたい死にたくないと、眠っているジェハに激しく暴力を振るった。
ガロウは我に返り、ボロボロになったジェハを見て俺はクズかと消沈する。

ジェハは「あんたの事嫌いだけど…あんたの叫び声を聞くと、心がバラバラになりそうだよ」と言う。
一番知られたくない相手に筒抜けになる血を、厄介だと思うガロウ。

ガロウは、ジェハが龍の脚の力で簡単に鎖を踏みつぶしたのを見て、能力が全てジェハに移ったと知る。
行かせたくないガロウはジェハを蹴るが、ジェハに脚で止められ倒れた。
「惨めな奴だと思ってんだろ…俺の事…」と言うが、ジェハは「あんたは惨めじゃない」「長老や里人にどんな扱いを受けても、決して龍の力で捻じ伏せようとはしなかっただろ」と目を伏せた。

１５歳の時、１度だけ里から逃げ出したガロウは、自由になったって行きたい場所も会いたい人もいないのだと気付いた。
そんな時、里で新しい緑龍が生まれた。
その日から、ガロウにとってジェハは唯一の話し相手だった。

ジェハは小屋を出て、「僕と行こう、ガロウ、空へ。一緒に飛ぼう」とガロウに手を差し伸べる。
だが長老が「それは許さん」「逃げ出せばジェハ、お前を射落とす」と言う。
ジェハに弓を向ける里人達に、ガロウは大声を上げて突っ込んで行った。
ガロウは「お前なんか大嫌いだからな。いなくなった方がせいせいするわ!!　２度と帰って来んじゃねーぞ!!　バーカ!!」と泣き叫ぶ。
ジェハは悲し気な目をして、何も言わず飛び立った。

ガロウは倒れ、どこまでも飛んでゆけとジェハを見送る。
そして龍神に〝どうかあいつを護ってやってくれ〟と願った。

【暁のヨナ】１７巻（95話～99話）感想

１７巻には花ゆめで行われたキャラクターコンテストの結果が載っています。
１位　ハク（3005pt）
２位　ヨナ（2289pt）
３位　ジェハ（868pt）
４位　ユン（802pt）
５位　シンア（771pt）

ハクが１位なのは納得ですが、キジャ好きの私は少数派の様です……
キジャは６位（678pt）でした。

人気のジェハはヨナを抱きしめて、ついに口説くのか！？　と思いきや病気で倒れたというオチでした……
無念。

でもハクの、ヨナの涙にキスはジェハに触発されたのだったら面白いですね。
……ハクは自制心は強いけど根はがっつり肉食系男子で、これまでも何だかんだ隙あらばヨナの顔にキスしてましたから、通常運転ではありますがw
ただ今回は、死を覚悟して最後のお別れ的な意味があったのだと思います。
だって、いくらハクでも１人で軍隊相手にしたら普通死にますよ。
本人の心情描写でも時間稼ぎしか考えていなかったですからね……

そういえば、ジェハがアオに君付けしていました。
それで、確定したのですが、ジェハは何故かハクだけ呼び捨てなんですよね。
メスのリスにまで君付けしてるのに、ホントなぜw
嫌いだからという訳ではなさそうなので、ジェハにとってのハクは仲のいい友人枠という事ですかね。

あと、やっぱり四龍の短命が話題になりましたね。
この設定、後から生きて来るといいのですが、今のところ先代が次代の龍を恨むみたいな辛い状況しか生み出していないんですよねぇ。
ジェハの先代のガロウって酷い奴でしたけど、そもそも短命設定が酷ですし、先代であっても父親という訳ではないので、ああなるのも分からなくはない気がします。
父親なのに息子を傷付けたキジャの先代の方が闇が深いかも。

龍については思う所が色々あります。

【暁のヨナ】の建物などは台湾を参考にしていると１３巻に作者が書いていたのですが、人名や地形から考えて、この作品のモデルは新羅（昔の韓国）なのだと思います。
戒帝国は高句麗で、済国は百済、真国は任那かな。
新羅は元々、６地域の部族の連合体らしいので、暁のヨナの５部族というのもそこから来ているのでしょう。
ちなみに新羅の始祖（赫居世（かくきょせい）居西干（きょせいかん））とその妃（閼英（あつえい）夫人）のお母さん（娑蘇（しゃそ）夫人）は中国の帝室の娘で、龍だそうです。

連載が始まったのが2009年でちょうど韓流ブームの頃なので、それに乗っちゃったんですかね。
ヨンジュンがなぜか様付けされていた頃ですねぇ。
日韓関係が悪くなった今となっては、ここまで韓国を前面にアピールしていなければ【暁のヨナ】ってもっと売れていた気がします。

あと、政治的な意味を抜きにしても、すごくスケールの小さい話に感じてしまうのが残念です。
龍の話なら中国をモデルにして欲しかったなぁ。
半島から出られない龍というのは、ちょっとしょぼい感じがしてしまいます。

広大な中国を端から端まで徒歩で移動するとなると、四龍を集めるだけで年単位の時間が掛かるので半島にせざるを得なかったのかも知れませんし、その後も国土が狭いおかげで短期間で国内を縦横断できているのですが……
でもむしろ、作中でも年単位で時間をかけて旅を進めて欲しかったです。
１７巻まで来て、まだ数ヶ月しか経っていないんですよねぇ。
ヨナの誕生日が４月７日、ハクの誕生日が８月９日で、その間の期間です。
（第1話でヨナが１６歳になり、ヨナの３歳年上のハクはまだ１８歳）

ヨナ達も、内面だけでなく年齢的にも大人になって欲しいですね。
まさかサザエさん方式（登場人物の年齢が変化しない現象）って事はない……よね？？

どうでもいい事ですが、ヨナにキスしたハクが「元気百倍」と言っていて、オロナミンＣか？　と思ったらアンパンマンですよね。
じゃあオロナミンＣは何だっけと思ってググりました。
「元気ハツラツ」でしたw

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