ネタバレ【狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~】3巻(13話~17話)

狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~3巻ネタバレ.jpg
第13話 「幕を下ろす者」
第14話 「果たされた誓い」
第15話 「エンドロールの裏側 前編」
第16話 「エンドロールの裏側 後編」
第17話 「受容」

登場人物
勇者エルセイドエルシェイラに改名
ヴィートリッヒ… 第1王子で真性メンタルヘルス
ジェランティーレ… 第2王子でマッドサイエンティスト
ブランヴェール… 第3王子で巨根女装癖
リュカオン… 第4王子で箱入りヘタレ
サイネル… 第5王子ザイードで勇者の親友
シャイリーン… 勇者の元仲間で魔女
ヴェルディ… 勇者の元仲間

【狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~】2巻(6話~12話)のネタバレはこちら


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狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~ 3巻(13話~17話)ネタバレ

以下ネタバレになりますので、見たくない方は無料で読む方法へどうぞ。





 第13話 幕を下ろす者 
【狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~】分冊版13巻

椅子に座ったままうたた寝をしていたエルシェイラは、メイドの姿がなく異常に静かであることに気付き、火掻き棒でドアをこじ開け部屋の外に出た。
すると使用人たちが廊下に倒れていて、睡眠薬に混じった血のにおいを感じ取る。
シャイリーンの『おまえの志が叶う時、おまえの1番愛する者は死ぬだろう』という最期の言葉を思い出し胸騒ぎを覚え、ヴィートリッヒの元へ向かう。

その頃、ジェランティーレはヴィートリッヒと向かい合っていた。
「君はリュカオンに剣を向けた。次はブランではないという保証は失われてしまったんだ」
二兎を得ることなどできない、ならば一番大切なものを守らなければならないというジェランティーレの言葉に、ヴィートリッヒは「それがお前の決断であるならば、私はこの死を受け入れよう」と返す。

血を流し続けるヴィートリッヒは、サイネルに約束を果たすと伝える。
そして「お前に…この命も、王位も、私のすべて……エルシェイラとその胎の子を……」と言ったところで、サイネルに「エルセイドはもとよりお前のものなどではない。俺の勇者だ」と言われ、ヴィートリッヒは目を見開いた。

そこで部屋に駆け込んだエルシェイラは、ヴィートリッヒの首に剣をあてるサイネルと、横たわり流血するヴィートリッヒに驚く。
エルシェイラはヴィートリッヒを膝に乗せ、声を荒げるがジェランティーレは手当てをしようとしない。
ヴィートリッヒは「幕を下ろしてくれる弟たちがいて、民を導いてくれるお前がいるのなら、私は決して孤独ではなかったと……心からそう思えるのだ」と言ってエルシェイラに口づけた。

ヴィートリッヒは「勇者でなくひとりの人間としてお前を愛おしいと思えた事で、肩書から解き放たれ救われた」と言い、愛しているとエルシェイラに伝える。
エルシェイラも涙を流しながら愛していますと応え、ヴィートリッヒは「思い残すのは…ひと目、我が子に…」と言いつつも、安らかな顔で息をひきとった。

サイネルは、ヴィートリッヒを抱き締め泣き続けるエルシェイラに「いつまでそうしている」と声をかける。
エルシェイラは「あんなにも今一度会いたいと願い、支えにしていたお前のことが、今は誰より憎くすらある」と睨み付けた。
サイネルは剣でエルシェイラの長い髪を切り落とし「いつからそんな腑抜けたことを言うようになった」と責める。
ジェランティーレに「これは正当な仇討ちだよエル」と言われ、ならばなぜ始めから素性や目的を告げなかったのだと聞くが、サイネルは何も言わない。

サイネルは男に戻れる薬をエルシェイラに投げ渡す。
ジェランティーレは、男に戻れば胎児が母体に吸収され生まれない、しかし一度出産を経てしまうと二度と男には戻れなくなると言う。
サイネルはエルシェイラに剣を向け、子を産むか男に戻るかの選択をせまる。



 第14話 果たされた誓い 
【狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~】分冊版14巻

エルシェイラは薬の入った瓶を落として割り「あまりに愚問ではないか、友よ。我が子の命を踏みにじり得た生など死に劣る」と言う。
そしてサイネルに、仇の子であっても命だけは見逃してくれないかと頼む。
「十月十日待ってくれさえすれば代わりに私を好きにすればいい」
それでも看過できぬというのであれば戦うと言い、エルシェイラは剣を握る。

サイネルに「分かった、いいだろう」と言われてエルシェイラは喜ぶが、ソファに投げ飛ばされ「望み通り好きにさせてもらう」と言われる。

ヴィートリッヒの遺体を担いで部屋を出て行ったジェランティーレは「結局僕は君に何ひとつしてやれなかったなあ…」と呟く。
ジェランティーレはヴィートリッヒの手を握り「ねえ、今はもう苦しくないかい? 痛くはないかい? 次は決してこんな城に生まれ堕ちちゃいけないよ。ゆっくりおやすみ、ヴィートリッヒ」と声を掛け、自らの顔を片手で覆った。


サイネルは「こんな非力な体でどうやってこの国を変えるつもりだ」とエルシェイラの服を剥ぐ。
サイネルに抱かれるエルシェイラは、身重の体を手荒に扱われない事にほっとしたものの、無二の友とこんな風に交わる日が来るなどとどうして予想できただろうか、お前の手で達してしまえば、これまでお前と築き上げてきた友情の何もかも、快楽で塗り潰されてしまうと涙を浮かべる。
サイネルを止めようとする言葉をキスで塞がれ、2人は絶頂した。

エルシェイラは〝愛する者も、無二の友も、一生を賭けた悲願も、全てが私の手から零れていった。しかしこの子の命さえ守る事ができたのならば、それが私の最期の使命だ〟と、お腹に両手を当てる。

するとサイネルが手を重ね「これでこの腹の赤子は俺の子だ」と言い、エルシェイラは驚く。
サイネルは「王の直系である俺と婚姻を結び、お前が王家に入ったのちに、俺がヴィートリッヒから奪還した王位継承権をお前に譲る。王座に就くのはお前だ、エルセイド」と言うと、エルシェイラの前に跪いた。
「あの日誓ったはずだ。俺の命も何もかもお前にくれてやると」
サイネルはエルシェイラ足の甲に口付ける。

部屋に戻ってきたジェランティーレが、明朝、救国の勇者たちとして君とサイネルの凱旋式をする、そこで君は褒賞に王位を望むと述べるといいと言う。
ジェランティーレは「明日を境に混乱の渦中に陥るであろう我が国を、存分に救ってみせていただきましょう」と目を細める。



 第15話 エンドロールの裏側 前編 
【狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~】分冊版15巻

焼け落ちる前の、エルシェイラの育った教会で、軍人が馬車に子供達を乗せている。
軍人は「安全な場所に行くだけだからな。ヴィートリッヒ殿下のお慈悲に感謝するんだぞ」と泣く子をあやす。

教会の中ではジェランティーレが「神なんていないな、教会で神父が孤児を奴隷として売り飛ばす為に育てるんだからねぇ。どうりでエルが孤児の割に読み書きがしっかりしていたり、無数の折檻痕がある訳だ」とぼやいた。
神父達の返り血を浴び、剣を握ったままのヴィートリッヒは「なぜ彼奴の瞳はあんなにも煌々と希望の光を灯し続けることができる。何が…違ったんだろうな」と目を伏せる。

ヴィートリッヒは「火を放ち、以後ここに足を運んだ者どもに国が関知したのだと知らしめよ」と命じた。


3年後

救国の勇者エルセイドの凱旋はあまりに多くの改革を伴った。
病床にあると聞かされていた王は、実は10年も昔に崩御しており、実質政権を握っていた第1王子ヴィートリッヒもまた急逝したこと、そしてふたりの遺言により、10年前に追放された末のザイードの無実が証明され、正式な王位継承者として呼び戻されたことが公表された。
何より国民を驚かせたのは、エルセイドと婚姻を結び王家に招き入れた上で、己の持つ王位継承権を褒賞として譲り与えるとのザイードの宣言であった。

かくして、前代未聞の名字も持たぬ庶民の出の王が誕生し、先代王とヴィートリッヒの葬儀、エルセイドの戴冠式が同時に執り行われたのだった。

しかし、国土の拡大にしか興味を持たなかった狂王とは異なり、戦禍に疲弊した国土の回復を念頭に置いた治世を敷いていたヴィートリッヒは、国民から絶大の支持を得ていた。
それゆえにエルセイドとザイードに対する反発は大きく、まことしやかに謀殺を囁かれた。
それでもエルセイドはその疑惑を甘んじて受け入れ、ヴィートリッヒの父殺しに始まる全ての罪の隠蔽を貫いた。

そして亡きヴィートリッヒを誰より敬愛し、その遺志を継ぎ国家再建に心血を注ぐエルセイドの姿に世論は徐々に雪解けを見せ、やがて救世の勇者王として愛されるようになるのだった。


孤児院を訪れたエルセイドを、騎士となったリュカオンが迎えに来た。
リュカオンはヴィートリッヒに禁じられていた念願の王宮騎士団への入団を果たし、隻眼のハンデを抱えながらも日々鍛錬に励んでいる。

エルセイドとリュカオンは並んで町を歩く。
エルセイドは「あの子達の健やかな顔を見る度に、私はあの日訳も聞かずヴィートを責めた己の愚かさを忘れはしないだろう」と俯く。
すると飛んできたトマトがリュカオンの顔に当たって潰れた。
八百屋のお爺さんは「去ね! 狂王の呪われた血を継ぐ悪魔が!」とリュカオンを罵倒する。
他の人間も、狂王と生き写しのリュカオンをおぞましいとひそひそ話している。
注意しようとするエルセイドに、リュカオンは「構いません。なぜ兄上が私だけ外界との接触を禁じたのか思い知りました。私のこの顔が憎しみの的となることを厭った兄上の優しさに、自分本位な私は気付くことができなかった」と目を伏せた。

そこへ女の子が走ってきて、ハンカチを差し出した。
エルセイドは「悔いはあれども若者たちの目に映る私達は、この国の未来を守る者として胸を張っていなくてはならない」と言い、リュカオンは「御意」とハンカチを握りしめ顔を上げる。


戴冠から半年後、エルセイドは第1王子ヴィルヘルムを出産した。
生前エルセイドと婚約していたヴィートリッヒの血を継いだ幼い王子は、国を挙げての祝福に包まれたのだった。

城に戻ったエルセイドの元へヴィルヘルムが駆け寄り、エルセイドはヴィルヘルムを抱き上げ、でれっとする。
ヴィルヘルムから「ちちうえとブランおじさまはまたケンカをしていましたよ」と聞き、勝敗を訊ねるエルセイド。
「ちちうえのかちです!」という返事に「ということは、これで21勝20敗か」と悠長に構えていると、ヴィルヘルム殿下が巻き込まれたらと思うと気が気でないとメイドに叱られ、諌めに行くことになる。

エルセイドがジェランティーレの所を訪ねると、そこにはヴェルディの姿が。
ヴェルディは地下牢から解放され、勇者と共に旅した仲間として当初の希望通り爵位を与えられた。
そして現在も城に留まり、ジェランの助手として魔術を利用した新しい医療の研究をしている。

ブランヴェールは正式に外交官に就任し、王としてまだ対外的に権威がなく、庶民の出と侮られがちなエルセイドを支えている。
もとより正気と狂気を行き来するヴィートリッヒを影で支えていたジェランティーレは、エルセイドが王としての公務に慣れるまでの指南役として翼賛した。

治療が終わったブランヴェールはジェランティーレに戒められている。
「僕にも治せる傷とそうでない傷がある。取り返しがつかない事になる前に、サイネルと衝突するのはやめておくれ」
「なら今度はサイネルを殺しておくれよ。僕の為ならできるだろう。ヴィートお兄様の時みたいにさ」

エルセイドがジェラン殿を困らせるなと言おうとすると、ブランヴェールはエルセイドの手にキスをし、取りつく島もなく出て行った。

「私には胡散臭いくらいよく助けてくれているのだがなぁ…」とブランヴェールの頑なな態度に眉を下げるエルセイドに、ジェランティーレは「僕らの中で誰より兄弟の和を大切にしていたあの子が、僕を許せるはずもない」と言う。

「それでもあなたとて、ヴィートを救いたかったのだろう」とエルセイドに言われ、否定するジェランティーレ。
だがエルセイドは「ヴィートが全幅の信頼を寄せるあなたであれば、その気になればいつだって己の手で殺すことも、サイネルを呼び戻すこともできたはすだ」と続け、ジェランティーレは「いい加減にしてくれ」と苛立つ。
「あなたは共に生きてヴィートを救う道をずっと模索していたのだろう」という言葉に、ジェランティーレは顔をこわばらせた。



 第16話 エンドロールの裏側 後編 
【狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~】分冊版16巻

ジェランティーレは笑い出す。
そして机を叩き、激昂する。
「生かして救う道なんてあったはずがないだろう! この狂った城で暴力と重圧の中育てられたにも関わらず、いつも人の事ばかり案じていた兄が、今さら正気を取り戻し、父殺しに始まる己の凶行の数々を自覚して耐えられると思うのか! 地獄のような慚悔ざんかいの日々を、ヴィートに強いればそれが救いか!」

「あなたの裏切りは弟たちを守り兄を苦しみから解放した。ヴィートとて、それがよく分かっていたからあなたに感謝しこそすれ、恨み言ひとつこぼさなかった」
エルセイドにそう言われたジェランティーレは、ヴィートリッヒに感謝の言葉をかけられた時の事を想起する。

『お前がいなければ私はとうに壊れて今ここには立ってはいないだろう』

とっくに壊れていたヴィートリッヒのその言葉を「とんだお笑い種だ」と嗤笑し、「生きて救う道などないと分かっていたのに、長く苦しめた。そんな僕が何を感謝される様なことがある」と頭を抱える。

ジェランティーレは「どうして死んだ後まで僕を苦しめるのかな彼は……いっそ父上を殺したあの日、無理矢理にでもブランを亡命させ、ヴィートと共に死んでいれば良かったのか…」と叫ぶ。
エルセイドは「生きる意味を失ったというのならば、これからは私の為に生きろ。私はあなたが必要だ」と手を差し伸べた。
その姿が子供の頃のヴィートリッヒと重なり、再び手を取ったジェランティーレは「僕も懲りないな…」と、エルセイドの手に額を当てる。


ジェランティーレは机の鍵を開け、取り出した紙の束をエルセイドに渡した。
「ヴィートは国の再建に臨む一方で、国益が上向きになる度に裏では凶行を繰り返し相殺していたから……僕はどうせまた積み上げては崩す積み木だろうと、まともに取り合わずしまい込んでいた」

エルセイドは執務室でひとり、ヴィートリッヒの残した国民の為の大量の計画書に目を通し、涙を落とす。
「御心を失う様なことがなければ、あなた程の王の器はいなかっただろうに…」

〝王座に座す者となったこの身が、この先弱音を漏らすことは二度とない。それでも、時に愛しい者の待つ甘い闇が、背後で髪を撫でる感覚にとらわれる〟
エルセイドは「ヴィートリッヒ…!」と名を呼んで泣く。

ガラスに小石が当たり、窓を開けるとサイネルが馬を2頭連れて見上げていた。
遠乗りに誘われ笑顔になったエルセイドは急いで着替え、バルコニーから飛び降りた。
サイネルはそれを受け止め、2人で馬に乗る。

サイネルは王子として城に帰還を果たしたものの、本人の意志で普段は政治にも軍事にも関与せず、非常時において王に対し対等に意見する権限を持つ、特別執政官の役職を与えられた。

エルセイドがヴィルヘルムを任せきりにしている事を謝ると、サイネルは「殺すことでしか生きる手段を見出せなかったこの手で、命を育てることになるとは夢にも思わなかった……悪くない」と優しい顔で目を伏せた。
それを見て頬を染めるエルセイド。
「乳母たちも感心していたぞ! どこで幼児の扱いなど覚えたのだ?」と聞くと「ヴィートリッヒが俺にしていた様にしているだけだ」と返され、「……そうか。よき…兄君だったのだな」としんみりする。

森で剣の手合わせをする2人。
エルセイドはブランと歩み寄れと言うものの、サイネルは「毎回突っかかってくるのは向こうだ! それにずっと姉だと思っていた相手を急に兄だなどと慕えるか!」と言われ、気持ちは分かると言葉を詰まらせる。

疲れて草の上に寝転び、「こうしているとあの頃に戻った様だ」と言うエルセイドに、サイネルは「何も変わらない。俺はお前のもので、お前は俺の勇者だ」と答える。
サイネルはエルセイドに覆いかぶさりキスをすると「男と女の身体の方が繋がるのに都合がいい。それだけのことだ」と言い、エルセイドの服を脱がす。
「こんな所で本当にする気か!?」と言うがサイネルは止まらない。

それでも、体を繋げてしまえば、双肩にかかる重責の全てを一時、友に預けることができた。
エルセイドは、こうしてやたら求めて来るのも私の為にやっているのだろうと考え「おまえには救われてばかりだ」とサイネルに抱き付く。
エルセイドを抱き締め返すサイネルの顔は、暗い影を落とし鋭い目で前を睨み付けている。

サイネルはかつてコロセウムで、死にたくない、殺したくないと思いながら勇者を待ち続けた。
だがいつまで経っても勇者は来なかった。

〝早く俺のもとへ来い勇者。そうしたら、俺がこの手で殺してやる〟



 第17話 受容 
【狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~】分冊版17巻

ようやく取り戻した俺の勇者……
今度こそ、俺がこの手で殺してやる――


コロセウムに送られたサイネルは、長髪の老人ギュリウスに出会った。

ギュリウスはかつて亡国の皇后であった、母シーラーザードに仕えていた騎士だった。
サイネルが収監された経緯を聞いたギュリウスは、悲憤に涙を流し、サイネルの盾となり監獄での生き方を教える。
人を殺す事をためらうサイラスに、ギュリウスは「安らかな生など二度と得ることが叶わぬのならば、死は苦しみから解き放ってくれる唯一の救いです」と諭した。

戦場で比肩する者のなかった父から仕込まれた剣技と、10年近く剣奴として生き抜いてきたギュリウスの庇護のおかげで、幼少期を凌げたのは強運だった。

ギュリウスは、いつかは脱獄しシーラ様を救い出すことだけを目標に生き抜いたと言い、サイネルは「救い出す…? 母上は父上に見初められて他国から輿入れしたのだろ?」と聞く。
するとギュリウスは、いかにして父が『狂王』と呼ばれる様になったかを語った。
サイネルは幸運と引き換えに、両親との温かな記憶を奪われた。

収監されて2年ほどが経った頃、ギュリウスはサイネルをかばった傷口から病魔に侵され倒れた。
初めてひとりでバケモノに勝ち、ギュリウスの所へ戻ると、ギュリウスは他の囚人達に殺されていた。

ついに完全なる孤独に陥り、昼に血と泥を、夜には絶望と欲望を丹念に塗り込まれる日々に、ふとヴィートリッヒがよく読み聞かせた伝記を思い出す。

――信じていれば、いつか必ず勇者が訪れる――

〝必ず勇者が魔物の手から兄上を救ってくれる。僕をここから助け出してくれる。だから今は耐えて待つんだ…!〟

ただただ絵物語の勇者の到来だけを信じ続け、1年2年5年と無情に時は過ぎていった。


やがて痛みや孤独を忘れ、命を奪うことに何も感じなくなった頃、サイラスはコロセウムで1等の剣奴になっていた。

待てど暮らせど勇者など来ず、ギュリウスの『死は苦しみから解き放ってくれる唯一の救い』という言葉を思い出す。
〝やはり俺がこの手で兄上をお救いせねば〟

だが待つことをやめた途端、その男は現れた。

〝今さら何を…! なぜ兄上は御心を失わねばならなかった。なぜ泣いても叫んでも助けにきてはくれなかった。お前の存在こそが俺たちをより深い絶望の淵に突き落としたのではないか…!〟

偽物が尻尾を出すまで茶番に付き合い、兄上をお救いするのにおまえの首手土産を用意する。
そう思っていたが、エルセイドはどこまでも清廉で愚直な男だった。
エルセイドは、何度騙され利用されようと、己を欺いた相手ではなく、貧困を生み出した劣悪な王政を憎んだ。
そして何より、己の無力さに憤り、救い零した命に悔し涙を流す。
その様を勇者といわず何と称すればいいのか。

長い旅を共にし、エルセイドの存在が大きくなっていくことにサイネルは困惑した。
大切に感じている者をこの手で殺す瞬間ばかり夢見る様な、歪な魔物に成り果てている自分を認めたくはなかった。

やがてエルセイドは、討伐を成し得た暁には姫と婚約を結び、王家の一族となることを褒賞に望むと明かした。
権力、それがお前の本性かと、やっと尻尾を掴んだと感じたサイネルは、王政に反旗を翻し城を攻め落としてこの国をまるごと手に入れることを提案し、隠した剣を握る。

だがエルセイドは「今、誰より苦しみ、助けを必要としているのは、玉座におわす王ご自身だ。私には分かるのだ。王をお救いすることこそが、私の使命だと」と真っすぐサイネルを見た。
サイラスの脳裏に、涙を流すヴィートリッヒの姿が浮かぶ。

〝お前なら、エルセイドならば〟

城を追放された自分が凱旋を共にすれば、エルセイドは勇者どころか逆賊として捕えられ、全てが水の泡となると考えたサイラスは、城へ行くことを拒んだ。

〝エルセイドがあの伝記の様に、とは違う形でヴィートリッヒを救い、この国の光となる未来を見たかった。 永久に故郷に帰れなくなろうとも、母の汚名を雪ぐことを諦めてでも、この手を離し、半身を喪うに等しい欠落にあえごうとも。 その光でお前に抱えた歪な妄執を断ち切って欲しかった〟


しかし、またしても願いは届かなかった。
ヴィートリッヒはエルセイドを受け入れず、長い年月に歪んだ執着のままに女につくり変え、名を奪い手籠めにした。
その凶刃はとうとう兄弟の血を流すに至り、ついにジェランティーレは全ての幕を下ろすことを決断し、サイネルを城に手引きした。

サイネルは、ヴィートリッヒの手によってただの女と変わり果て、憎しみの眼差しを向けさえするエルセイドと相見えた時、振り切ったはずの妄執が再び湧き上がり、堰を切るのを感じた。

〝俺がどれほど狂喜に震えたかお前は知らないだろう。 やっとお前を殺すことができるエルセイド勇者

だが、ヴィートリッヒの子を産むか男に戻るかの二択をせまられたエルセイドは、堂々と「あまりに愚問」と切り捨てた。

サイネルはまたしてもエルセイドを殺す事はできなかった。

〝ああ、一体いつになれば俺はお前を〟


サイネルの膝を枕に眠るエルセイド。
サイネルはエルセイドの細い首を掴む。

〝愛も殺意も区別できぬ魔物と化したこの身は、己の狂気に内側から食い破られ、父やヴィートリッヒと同じ末路を辿るのだろう〟

目を閉じたままのエルセイドがサイネルの名を呼び、サイネルは慌てて手を離す。
だがエルセイドはサイネルの手を取り自らの首を掴ませ、私が再び勇者であることを止めようとした時、お前のこの手でこの喉を搔き切れと言う。
焦るサイネルは、「もう隠すな。その狂気で私を勇者たらしめてくれ」とエルセイドに言われ目を見開く。

「お前の狂気はいつか民を導く希望となるのだから。私の狂王子サイネル


狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~ 3巻(13話~17話)感想

王になってからはエルシェイラからエルセイドになっていますが、名前を戻す事についての描写は特にありませんでした。

十月十日のタイトル回収(?)が14話で来ましたね。
読む前は妊娠期間中の話なのかと思っていたのですが、そういう訳ではなかったですw
むしろ妊娠中の話、ほとんどなかったwww

全部解決した後、最終回直前の16話で『まだ何かあるの!?』と思わせる展開は見事ですね。
そして狂王子のタイトル回収が最終回で来ました。
この人も狂王子だったのねと。


この作品は手を握る描写で愛情が表現が多用されていて、それに気付いてまた始めから読み返しました。
内容が分かった後も何度も楽しめるのが良いですね。

最後が若干不穏な終わり方だったのですが、番外編が出たのでその後の様子を見る事ができます。
続きがあって良かった。

続きはこちら↓
【狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~】番外編1

番外編、めっちゃ面白かったです。
特に4話、この子誰の子!? となり、そう来たか! という、びっくり面白展開で「わはー!」って変な声が出ましたw

【狂王子の歪な囚愛~女体化騎士の十月十日~】番外編4


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